特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いとは?対象者・検査項目・罰則を徹底解説

特定業務従事者健康診断 特殊健康診断 違い

特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いは以下の通りです。

種類内容
特定業務従事者健康診断・危険を伴う14個の業務に従事する労働者が対象
・一般の健康診断に含まれる
・6か月以内に一回の頻度で実施
・実施義務を怠ると50万円以下の罰則
特殊健康診断・特定の8つの有害業務に従事する労働者が対象
・6か月以内に一回の頻度で実施
・実施義務を怠ると50万円以下の罰則

特定業務従事者健康診断と特殊健康診断は対象業務や対象者に違いがあります。そのため、企業は特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いをきちんと理解し、正しい頻度で実施しなければなりません。

当記事では以下のことがわかります。

最後まで読めば、特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いがわかり、自社に義務づけられている健康診断が判断できるようになるでしょう。

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特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いとは?

特定業務従事者健康診断 特殊健康診断 違い

特定業務従事者健康診断は、危険を伴う業務に従事する労働者が対象です。一方、特殊健康診断は特定の有害業務に従事する労働者が対象の健康診断となります。

2つの健康診断は、検診対象となる労働者が違うという特徴があります。

特定業務従事者健康診断と特殊健康診断は、どちらも労働者の健康管理に欠かせない健康診断です。ここでは、特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いについて詳しく解説します。

最後まで見れば、それぞれの健康診断の違いがわかり、雇用する従業員に合う健診を選択できるようになるでしょう。

特定業務従事者健康診断とは

特定業務従事者健康診断とは、労働安全衛生規則第13条第1項第2号とじん肺法に基づき、危険を伴う業務に従事する労働者を対象にした健康診断です

3 特定業務従事者の健康診断
労働安全衛生規則第13条第1項第2号の業務に常時従事する労働者に対し、「同業務への配置換え時」及び「6か月以内ごとに1回、定期に」実施するもの。

引用元:八王子労働基準監督署

特定業務としては、重量物を扱う作業・高所作業・有害な粉じんを扱う業務などが該当します。

特定業務従事者健康診断は通常の健康診断と異なり、6か月以内に一回の頻度での実施が必須です。また、配置替えや業務変更の際には、直ちに検診を実施することが求められます。

特定業務従事者健康診断は法律で定められた頻度での実施によって、労働者の健康リスクを早期に発見し、対策を講じることが可能となります。

特殊健康診断とは

特殊健康診断とは、労働安全衛生法第66条第2項・第3項に基づいて定められた、特定の有害業務に従事する労働者に対する健康診断です。

■ 特殊健康診断
労働安全衛生法第 66 条第 2、第 3 項に定められている健康診断及びじん肺法第3条に定められている健康診断です。
労働衛生対策上、特に有害であるといわれている業務に従事する労働者を対象として実施する健康診断で、有害業務に起因する健康障害の状況を調べる健康診断です。

引用元:厚生労働省

特殊健康診断の対象は、高気圧業務・放射線業務・特定化学物質業務など、健康リスクが高い業務に従事する場合です。

特殊健康診断は通常の健康診断とは異なり、業務に関連する有害物質や作業環境に特化した検査項目が含まれているため、より専門的な検査が行われます。また、6か月以内に一回の頻度での実施が必須です。

特殊健康診断を受けることで、労働者の健康リスクを適切に管理し、職場環境の改善や労働者の安全確保が可能となります。

その他の健康診断との違い

特定業務従事者健康診断・特殊健康診断・その他の健康診断との違いは、健康診断の分類です。

特定業務従事者健康診断は、その他の健康診断と同じく一般健康診断に分類されます。一般健康診断に含まれる健診は以下の通りです。

一般健康診断の種類対象となる労働者実施時期
雇入時の健康診断
(安衛則第43条)
常時使用する労働者雇入れの際
定期健康診断
(安衛則第44条)
常時使用する労働者
(次項の特定業務従事者を除く)
1年以内ごとに1回
特定業務従事者の
健康診断
(安衛則第45条)
労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる
業務に常時従事する労働者
左記業務への配置替え
の際、6月以内ごとに1回
海外派遣労働者の
健康診断
(安衛則第45条の2)
海外に6ヶ月以上派遣する労働者海外に6月以上派遣する際
帰国後国内業務に就かせる際
給食従業員の検便
(安衛則第47条)
事業に附属する食堂または炊事場における
給食の業務に従事する労働者
雇入れの際、配置替えの際

引用元:厚生労働省

一方、特殊健康診断は一般健康診断の中には含まれない特別な健康診断です。労働安全衛生法第66条第2項・第3項に基づき、特定の有害業務に従事する労働者のみが対象となり、より専門的な健康管理が求められます。

特殊健康診断は、その他の健康診断とは違う種類に分類されることを認識しましょう。

企業は、特定業務従事者健康診断・特殊健康診断・その他の健康診断の違いを理解すると、法律に沿った健康診断の実施が可能となります。

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特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の罰則の違い

特定業務従事者健康診断 特殊健康診断 違い 罰則

特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の罰則に違いはありません。どちらも、労働安全衛生法第66条により、すべての企業に実施が義務づけられています。

(健康診断)

第六十六条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。 

第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

第六十六条第一項から第三項まで

引用元:労働安全衛生法

企業に検診対象となる労働者がいるにもかかわらず、特定業務従事者健康診断や特殊健康診断を実施しない場合は、50万円以下の罰金が科される可能性もあります。

ここでは、従業員が健康診断を自ら受診しないときや健康診断の実施義務を怠った企業の事例を解説します。

最後まで見れば、特定業務従事者健康診断や特殊健康診断を怠ったときの罰則について深く理解し、それぞれの健康診断が企業の義務として再認識できるでしょう。

従業員自身が受診しない場合も企業は罰則の対象となる

特定業務従事者健康診断や特殊健康診断を従業員が「忙しい」などの理由で受けなかった場合でも、企業が罰則を受ける可能性もあります。

そのため、企業は必ず特定業務従事者健康診断や特殊健康診断を実施し、従業員へ受診を促す必要があります。

従業員が特定業務従事者健康診断や特殊健康診断の受診を拒否する場合は、受診しない理由を丁寧にヒアリングし、法律で義務づけられていることを伝えましょう。

実施義務がある健康診断を従業員に拒否されたときの対処法については、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

特殊健康診断の実施義務を怠った企業が罰則を受けた事例

特殊健康診断の実施を怠った企業が労働基準監督署から罰則を受けた事例もあります。

福井県の自動車修理業者は有機溶剤を使用する従業員に対して、特殊健康診断を2年間(平成29年2月28日~令和元年5月28日まで)にわたり、一度も実施しませんでした。そのため、福井・敦賀労働基準監督署は労働安全衛生法第66条に違反したとして同社を書類送検しています。

福井・敦賀労働基準監督署は有機溶剤を使用する労働者1人に、特殊健康診断を2年以上にわたり受けさせなかったとして、自動車修理業者と同社の代表取締役を労働安全衛生法第66条(健康診断)違反の疑いで福井地検に書類送検した。

引用元:労働新聞社

上記のように、企業に義務づけられている健康診断の実施を怠ると、全国で報道されます。企業ブランドの信頼を損なう事態になるため、特定業務従事者健康診断や特殊健康診断は必ず実施してください。

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特定業務従事者健康診断の対象となる14個の業務と対象者

特定業務従事者健康診断  業務 対象者

特定業務従事者健康診断の対象となる14個の業務と対象者は以下の通りです。

特定業務従事者健康診断は、労働者が特定のリスクを伴う業務に従事する際に、健康状態を管理するための必要な診断です。ここでは、特定業務従事者健康診断の対象となる14種類の業務を詳しく解説します。

最後まで見れば、自社がどの業務の対象となるかがわかり、適切な診断を受けるための行動につながるでしょう。

①暑熱業務

暑熱業務とは、労働者が著しく高温多湿な環境で作業する業務や多量の高熱物体取り扱う業務を指します。

  • 乾球温度40℃以上の環境
  • 湿球温度32.5℃以上の環境
  • 黒球寒暖計示度50℃または感覚温度32.5℃以上の環境
  • 煮沸された摂氏100度以上の液体を扱う

上記のような環境(火を扱う工場・鉄工所など)での作業は、熱中症などのリスクが高まるため、特定業務従事者健康診断を通じて労働者の体調管理が重要です。

②寒冷業務

寒冷業務とは、著しく寒冷な場所や、低温物体を扱う業務に従事する労働者を対象にした業務です。

  • 液体空気・ドライアイスが皮ふに触れる業務
  • 乾球温度-10℃以下の環境
  • 気流1秒あたり1mを加えるごとに乾球温度が3℃下がる環境

冷凍庫内での作業・製氷業・冷凍食品製造業など、労働者の健康に深刻な影響を与えるリスクがあるため、定期的な特定業務従事者健康診断による管理が必要です。

③有害放射線業務

有害放射線業務とは、以下の放射線物質にさらされる業務のことです。

  • ラジウム放射線
  • エックス線
  • 紫外線
  • 赤外線
  • ウラニウム
  • トリウム等

医療現場・検査業務・金属溶融炉の監視などが有害放射線業務に該当します。有害放射線業務に従事する労働者は、放射線の影響を受けるリスクが高いため、定期的な特定業務従事者健康診断が必要です。

➃粉じん業務

粉じん業務とは、土石・獣毛・植物性や動物性の粉末が空気中に飛散する場所での作業を指します。

  • 綿・糸・ぼろ・木炭等(植物性)
  • 毛・骨粉等(動物性)
  • 土石・金属等(鉱物性)

粉じん業務は、上記の粉じんが1㎤の空気の中に1,000個以上、または1㎥の空気の中に15㎎以上の粒子数を含む環境が該当します。

また、粉じんが遊離けい石を50%以上含む場合は、1㎤の空気の中に700個以上、または1㎥の空気の中に10㎎以上の粒子数を含む環境と指定されています。

製造業・鉱業・石炭の取り扱い業務などは、作業場の空気中に粒子や粉じんが大量に含まれると、労働者の呼吸器系に深刻な影響を与えるため、特定業務従事者健康診断が必須です。

⑤異常気圧下業務

異常気圧下業務とは、高気圧や低気圧の環境下で行われる業務を指します。

高気圧業務

  • 潜函工法・潜鐘工法・圧気シールド工法・その他の圧気工法の環境
  • ヘルメット式潜水器・マスク式潜水器・その他の潜水器を用いる環境

低気圧業務

  • 海抜3,000m以上の高山での業務

高気圧下業務では、潜水作業や気圧工法による作業が含まれます。低気圧下業務は、海抜3,000m以上の高山などの環境下での作業が該当します。

⑥振動業務

振動業務とは、削岩機(さくがんき)や鋲打機(びょううちき)などを使用して、身体に著しい振動を与える作業のことです。

  • 削岩機や鋲打機を使用するすべての業務
  • 衝程70mm以下および重量2kg以下の鋲打機は対象外

削岩機や鋲打機などは、高い振動によって手・腕・全身に大きな負担をかけるため、労働者の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦重量物取扱い業務

重量物取扱い業務とは、以下に該当する作業を指します。

  • 30kg以上の重量物を労働時間の30%以上取り扱う
  • 20kg以上の重量物を労働時間の50%以上取り扱う

重量物取扱い業務は、労働者の腰や関節に過剰な負担をかける可能性が高いため、定期的な特定業務従事者健康診断が重要です。

⑧騒音業務

騒音業務とは、強烈な騒音を発する環境で行われる業務を指します。

  • ボイラー製造や工場内の作業
  • 100dB以上の騒音が常時発生する場所

100dBは電車の高架下(ガード下)と同様の騒音です。強烈な騒音にさらされると、聴覚に悪影響を及ぼし、長期的な健康問題に発展する可能性があります。

⑨坑内業務

坑内業務とは、鉱山や地下の作業現場で行われる業務を指します。

  • 岩石や鉱物の掘削・掘採
  • ずい道工事(道路・鉄道・水路など)

坑内業務は、狭い空間や換気の悪い環境で作業することが多く、労働者の健康に大きな負担をかける可能性があります。

⑩深夜業務

深夜業務とは、午後10時から翌朝5時までの時間帯に行われる業務のことです。

  • 週に1回以上、または月に4回以上深夜労働を行う場合
  • 所定労働時間の一部がこの時間帯にかかる場合

深夜業務は体内リズムを崩すことで、睡眠不足や健康障害を引き起こす可能性があります。特定業務従事者健康診断を通じて、健康リスクを管理することが重要です。

⑪有害物取扱い業務

有害物取扱い業務とは、以下の有害物に触れる機会がある作業を指します。

  • 水銀
  • ヒ素
  • 黄リン
  • フッ化水素酸
  • 硫酸硝酸
  • 硫酸
  • 青酸
  • 苛性アルカリ
  • 石炭酸
  • その他これに準ずる有害物

有害物質は、長期にわたって取り扱うと健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、定期的な特定業務従事者健康診断を受けることが必要です。

⑫有害ガス等取扱い業務

有害ガス等取扱い業務とは、以下に該当する有害物質の粉じん・蒸気・ガスを発散する場所に関する業務を指します。

  • 鉛(1㎥中0.5㎎)
  • 水銀(1㎥中0.1㎎)
  • クロム(1㎥中0.5㎎)
  • 砒素(1㏙)
  • 黄燐(2㏙)
  • 弗素(3㏙)
  • 塩素(1㏙)
  • 塩酸(10㏙)
  • 硝酸(40㏙)
  • 亜硫酸(10㏙)
  • 硫酸(1㎥中5㎎)
  • 一酸化炭素(100㏙)
  • 二硫化炭素(20㏙)
  • 青酸(20㏙)
  • ベンゼン(100㏙)
  • アニリン(7㏙)
  • その他これに準ずる有害物

有害物質は、ガス・蒸気・粉じんとして空気中に放出されることがあり、長時間の接触や吸入によって健康リスクが高まります。上記に記載の基準値を超える有害物質が含まれる環境下で作業する場合、特定業務従事者健康診断の対象者となります。

⑬病原体取扱い業務

病原体取扱い業務とは、病院や検査機関などで感染源となる病原体に接触する可能性がある業務のことです。

医療現場・検査室では、ウイルスや細菌に接触する機会が多く、労働者の健康に重大なリスクをもたらす可能性があります。

そのため、病原体取扱い業務の対象者は定期的な特定業務従事者健康診断が必須です。感染リスクを管理することで労働者の安全を確保し、適切な対策が講じられます。

⑭その他厚生労働大臣が定める業務

その他厚生労働大臣が定める業務は、現在まだ具体的な基準や業務内容は制定されていません。将来的に労働環境や業務内容の変化に応じて追加される可能性があります。

新たにリスクを認める業務が追加されれば、特定業務従事者健康診断の対象となり、労働者の健康リスクを減少させるための重要な措置として機能します。

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特定業務従事者健康診断の検査項目を解説

特定業務従事者健康診断  検査項目

特定業務従事者健康診断では、身長・体重・血圧測定など基本的な検査から、肝機能検査や心電図検査が行われます。特定業務従事者健康診断で行われるすべての検査は以下の11項目です。

① 既往歴及び業務歴の調査
② 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
④ 胸部エックス線検査及び喀痰検査
⑤ 血圧の測定
⑥ 貧血検査(血色素量、赤血球数)
⑦ 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
⑧ 血中脂質検査(LDL・HDLコレステロール、TG)
⑨ 血糖検査
⑩ 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
⑪ 心電図検査

引用元:厚生労働省

特定業務従事者健康診断は一般健康診断の中に含まれます。そのため、雇入れ時の健康診断や定期健康診断と同じ内容の検査を実施します。

また、特定業務従事者健康診断は医師が必要ないと認めたときは、厚生労働省の基準に基づき、検査の一部の省略が可能です。

省略できる検査項目内容
身長20歳以上の労働者
喀痰検査・胸部X線検査を実施しても、疾病の発見や結核発病の恐れがないと診断された労働者
貧血
肝機能
血中脂質
血糖検査
心電図検査

・35歳未満の労働者
・36~39歳の労働者
腹囲検査・40歳未満の労働者(35歳以外の労働者)
・妊娠中の女性その他の者かつ、腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された労働者
・BMIが20未満の労働者
・労働者自ら腹囲を測定し、その値を申告した場合(BMIが22未満である者に限る)

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特殊健康診断の対象となる8つの業務と対象者

特殊健康診断 業務 対象者

特殊健康診断の対象となる8つの業務と対象者は以下の通りです。

  • 高気圧業務に従事する労働者
  • 放射線業務に従事する労働者
  • 特定化学物質業務に従事する労働者
  • 石綿業務に従事する労働者
  • 鉛業務に従事する労働者
  • 四アルキル鉛業務に従事する労働者
  • 有機溶剤等業務に従事する労働者
  • じん肺業務に従事する労働者

特殊健康診断は、労働安全衛生法第66条第2項・第3項に基づいて定められた業務とじん肺法で定められている業務が該当します。

特殊健康診断に該当する業務内容については、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

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特殊健康診断の検査項目を解説

特殊健康診断 検査項目

特殊健康診断の検査項目は、従事する業務によって異なります。特殊健康診断の検査項目の一部を見ていきましょう。

種類検査項目
高気圧業務健康診断・既往歴及び高気圧業務暦の調査
・関節、腰若しくは下肢の痛み、⽿鳴り等の
⾃覚症状又は他覚症状の有無の検査
・四肢の運動機能の検査
・そのほか
放射線業務健康診断・被ばく歴の有無の調査及びその評価
・白⾎球数及び白⾎球百分率の検査
・⾚⾎球数の検査及び⾎⾊素量
又はヘマトクリット値の検査
・そのほか
特定化学物質健康診断■ベンジジン及びその塩を取り扱う場合
・⾎尿、頻尿、排尿痛等の他覚症状
又は⾃覚症状の有無の検査
・皮膚炎等の皮膚所⾒の有無の検査
・尿中の潜⾎検査
・そのほか
石綿健康診断・業務の経歴の調査
・石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛等の
他覚症状又は⾃覚症状の既往歴の有無の検査
・せき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状
又は⾃覚症状の有無の検査
・そのほか
鉛健康診断・業務の経歴の調査
・鉛による⾃覚症状又は他覚症状と
通常認められる症状の有無の検査
・⾎液中の鉛の量の検査※
・そのほか
四アルキル鉛健康診断・業務の経歴の調査
・作業条件の簡易な調査
・四アルキル鉛によるいらいら、不眠、悪夢、⾷欲不振、
顔⾯蒼白、倦怠感、盗汗、頭痛、振顫、四肢の腱反射亢進、
悪心、嘔吐、腹痛、不安、興奮、記憶障害その他の神経障害
又は精神症状の⾃覚症状及び他覚症状の既往歴の有無の検査
・そのほか
有機溶剤等健康診断・業務の経歴の調査
・有機溶剤による健康障害の既往歴の有無の検査
・有機溶剤による⾃覚症状または
他覚症状と通常認められる症状の有無の検査
・そのほか
じん肺健康診断・粉じん作業の職歴の調査
・胸部エックス線写真
・胸部臨床検査
・そのほか

引用元:労働安全衛生法第66条第2項、3項の政令で定める有害な業務について|厚生労働省
引用元:じん肺、じん肺健康診断、じん肺管理区分について|厚生労働省
引用元:愛知労働局

たとえば、高気圧業務健康診断には上記に記載した検査以外にも、⿎膜及び聴⼒の検査・尿検査・肺活量測定が行われます。さらに、作業条件調査や肺換気機能検査などの二次健康診断項目も存在します。

特殊健康診断は業務によって検査項目が異なるため、企業は自社の取り扱う業務に合わせた検査の実施が必要です。

特殊健康診断の検査項目については「特殊健康診断とは何?検査項目や企業が行うべき対応を徹底解説」でも詳しく解説しているのでご覧ください。

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特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いに関するよくある3つの質問

特定業務従事者健康診断 特殊健康診断 違い よくある質問

特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いに関するよくある質問は以下の3つです。

特定業務従事者健康診断と特殊健康診断について疑問を抱える経営者・人事担当者は多いでしょう。ここでは、特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いに関するよくある質問と回答を解説します。

最後まで見れば、特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いに関して理解が深まり、企業の健康診断実施義務を確実に実行できるでしょう。

特定業務従事者とは何?

特定業務従事者とは、有害物質を扱う業務や深夜業など労働安全衛生規則第13条第1項第2号に基づいた業務を担う労働者のことを指します。以下の業務に従事する人が対象者です。

特定業務従事者は、健康リスクが高いため、定期的な特定業務従事者健康診断が必要です。

特定業務従事者の健康診断は年2回の実施が必須?

特定業務従事者健康診断は年2回の実施が義務づけられています。

具体的には6ヵ月以内ごとに1回の実施が必須です。また、配置替えが発生した際も特定業務従事者健康診断を実施しなければなりません。

Q8 年に2回健康診断を実施しなければならない場合があると聞きましたが、どのよ
うな場合ですか。
A8 特定業務従事者の健康診断があります。
事業者は、深夜業などの特定業務に常時従事する労働者に対し、その業務への配置替えの際及び6ヵ月以内ごとに1 回、定期に実施する必要があります。また、省略基準は「胸部エックス線検査」を除き定期健康診断と同じです。
※ 関係法令:一般健康診断(労働安全衛生規則第44条)、特定業務従事者健康診
断(労働安全衛生規則第45条)

引用元:厚生労働省

企業は法律にて定められている頻度で、特定業務従事者健康診断を実施しましょう。

特定業務従事者健診は省略できる?

特定業務従事者健診は医師が「必要ない」と認めた場合、一部の検査を省略できます。省略できる検査は以下の通りです。

  • 身長
  • 喀痰検査
  • 貧血・肝機能・血中脂質・血糖検査・心電図検査
  • 腹囲検査

省略できる検査項目は定期健康診断と同じ検査です(胸部エックス線検査を除く)。ただし、省略できるのは医師が「必要ない」と認めた場合で、必ず省略できるものではないことに注意しましょう。

特定業務従事者健康診断の省略内容については先述した「特定業務従事者健康診断の検査項目」をご覧ください。

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まとめ:特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いを把握して適切に実施しよう

特定業務従事者健康診断 特殊健康診断 違い まとめ

特定業務従事者健康診断と特殊健康診断は、それぞれ対象業務と対象者が異なります。経営者・人事担当者は2つの健康診断の違いについてもう一度確認しておきましょう。

特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の実施は、リスクの早期発見と予防措置が可能になります。どちらの健康診断も6か月以内に一回の頻度の実施が義務づけられているため、実施タイミングを誤らないよう注意が必要です。

企業は特定業務従事者健康診断と特殊健康診断の違いを理解し、2つの健康診断を適切に行い、労働者の安全と健康を確保しましょう。