健康診断の二次検査とは、初回の健康診断(一次検査)で異常が見つかった場合や、さらに詳細な検査が必要と判断された場合に行われる検査を指します。健康診断の二次検査の詳細は以下の通りです。
従業員の健康は企業の最大の資産の一つです。定期的な健康診断は、この貴重な資産を守り、従業員それぞれの健康状態に最適なケアを提供するために不可欠です。
一次検査で気になる点が見つかった場合、二次検査の受診はさらなる健康リスクの早期発見と早期介入を可能にし、従業員の長期的な健康と企業全体の生産性の維持に寄与します。
当記事では、他にも以下のことが分かります。
最後まで見れば、健康診断の二次審査に関する知識がつき、従業員一人ひとりの健康を守れるようになるでしょう。
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【健康診断結果の一元管理マニュアル】
健康診断の二次検査とは、最初の健康診断で気になる点が見つかった場合に受ける追加の検査です。健康診断は体の状態をチェックし、問題がないかを確認するために行われます。
しかし、ときにはその結果で、さらに詳しく調べる必要があると医師に判断されることがあります。
二次検査は、病気の予防や早期発見を目的としており、深刻な病気が隠れている可能性を探るために非常に重要です。症状がないからといって放置すると、問題が悪化する可能性があるため、二次検査の受診が勧められます。
ここでは、健康診断の二次審査について、以下4つの項目を解説します。
最後まで見れば、健康診断の二次検査の詳細が分かり、受診の重要性を理解できるようになるでしょう。
二次検査が必要になるケース:要経過観察または要精密検査・要医療
健康診断の二次検査は、判定結果によって必要になる場合があります。
しかし、医療機関によっては、これらの判定区分や名称に違いがあることも理解しておくことが必要です。
判定結果 | 内容 |
---|---|
A:異常なし | 健康診断の範囲内で健康問題は見つからなかった |
B:軽度の異常 | 小さな問題が見つかったものの、大きな心配の種ではない |
C:要経過観察 | 特定の期間後に再検査を受けることが推奨される |
D1:要精密検査 | 一次検査で見つかった問題をより詳しく調べるため、さらに詳細な検査が必要 |
D2:要医療 | 明確な健康問題が確認され、治療が必要 |
E:治療中 | すでに治療を受けている状態のため、二次検査ではなく治療の継続が重要 |
主に「要経過観察」と「要精密検査・要医療」の結果を受けた人は、二次検査を受けることが推奨されます。
「異常なし」や「軽度の異常」の結果を受けた場合は、基本的には健康とみなされ、自覚症状がなければ二次検査の必要はありません。「治療中」はすでに治療を受けている状態を指すため、同様に二次検査は不要です。
二次検査が推奨されるのは、健康状態に関するより詳細な情報を得たり、可能な限り早期に治療を開始したりするためです。医療機関による判定区分の違いに注意しながら、自身の健康状態に対応する必要があります。
二次検査の費用相場:検査内容によって異なる
健康診断の二次検査の費用相場は以下の通りです。
検査内容 | 費用相場 |
---|---|
血液検査 | 約2,500円~3,000円 |
尿検査 | 約1,000円〜2,000円 |
MRI検査 | 約5,000円〜20,000円 |
CT検査(1部位あたり) | 約5,000円〜10,000円 |
超音波検査 | 約1,000円〜3,000円 |
心電図 | 約400円〜1,000円 |
ホルター心電図 | 約5,000円 |
胃内視鏡検査 | 約3,500円〜5,000円 |
大腸内視鏡検査 | 約5,000円〜10,000円 |
二次検査の費用は、健康診断で指摘された項目や個人の健康状態によって異なります。費用相場は健康保険適用時における自己負担額の目安としており、保険が適用される場合は通常総額の3割を負担します。
しかし、実際の費用は受診する医療施設や検査の種類によって大きく異なるため、具体的な金額を知りたい場合は受診予定の医療施設に直接問い合わせることが重要です。
二次検査を受ける場所:最初に健康診断を受けた病院・クリニック等
健康診断で二次検査が必要になったとき、選べる受診先は主に3つあります。
一つ目は最初に健康診断を受けた病院やクリニックです。この場合、すでに健康診断のデータがあるため、検査がスムーズに進みます。追加でかかる費用が少ないこともメリットです。
次に、かかりつけの医者や近くのクリニックがあります。かかりつけ医に相談すれば、健康診断の結果を見せるだけで、紹介状なしで検査が受けられます。
ただし、初めてのクリニックを選ぶ場合は、二次検査が可能か事前に確認する必要があります。
最後に、総合病院や大学病院が挙げられます。ここでは、より高度な検査が可能ですが、紹介状が必要になることが多く、場合によっては特別料金が加算されることもあります。どの場所を選ぶにしても、事前に確認や相談をすることが大切です。
再検査と精密検査の違い:再検査は「確認」、精密検査は「詳細化」
「再検査」とは、最初に行った検査と同じものをもう一度行い、見つかった異常が一時的なものだったのか、それとも継続しているのかを確かめるための検査です。
たとえば、血圧が高かった場合、それがその日だけのことなのか、普段から高いのかを見極めます。
「精密検査」とは、初めの検査で見つかった異常について、より詳しく調査するための検査です。これは、特定の病気の有無を確かめるためや、病気が見つかった場合にはその病気の状態をより明確にするために行われます。
精密検査とは、検査で見つかった異常が、具体的にどんな病気によるものなのか、治療が必要なのかを確認するためのさらに詳しい検査です。人間ドックや健康診断の結果、精密検査が必要な方に対して、紹介理由や血液データを記載した紹介状をお渡しします。
日本赤十字社熊本健康管理センター
簡単に言えば、再検査は「もう一度チェックする」ことで、精密検査は「より深く調べる」ことになります。
定期的な健康診断は従業員の健康状態を把握し、早期に問題を発見するために労働安全衛生法により義務付けられています。原則として、この健康診断にかかる初期費用は企業負担です。
事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。
e-GOV法令検索
厚生労働省が出している「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」では、企業に対して二次検査の受診勧奨とその結果の提出を促すことが適当であるとされています。
しかし、これには罰則が設けられていないため、厳密な義務はありません。
また、二次検査の費用負担は企業によって異なり、法令による強制ではなく、企業の方針や経済的な余裕に基づくものです。
ただし、有害業務に従事する従業員に関しては、特殊健康診断が義務付けられており、この場合の二次検査も法的な義務の範疇に含まれることがあります。
結局のところ、二次検査の費用負担については、企業の自主的な判断に委ねられています。従業員の健康を維持し、安全な労働環境を確保するためには、企業が積極的に二次検査の受診を促し、可能であればその費用も負担することが望ましいです。
従業員が健康診断の結果に基づく適切な医療措置を受けられるよう支援することは、企業にとっても長期的な利益に繋がります。
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特定の条件を満たす場合は「労災保険二次健康診断等給付」という制度を利用することで、無料で健康診断の二次検査を受けられます。
二次健康診断等給付は、職場の定期健康診断等(以下「一次健康診断」といいます)で異常の所見が認められた場合に、脳血管・心臓の状態を把握するための二次健康診断及び脳・心臓疾患の発症の予防を図るための特定保健指導を1年度内に1回、無料で受診することができる制度です。
厚生労働省
労災保険二次健康診断等給付の制度を受けるための要件は以下の通りです。
- 血圧検査、血中脂質検査、血糖検査、腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定の4項目全てに異常が認められた
- 脳・心臓疾患の症状を有していないこと
- 労災保険の特別加入者でないこと
しかし、4項目に異常がなくても、医師が職場の状況などを考慮して、特定の検査が必要と診断した場合には、二次健康診断の給付を受けることが可能です。
実施される二次健康診断では、空腹時の血中脂質検査、血糖値検査、ヘモグロビンA1c検査(一次健康診断で未実施の場合)、負荷心電図検査または心エコー検査、頸部エコー検査、微量アルブミン尿検査などがあります。
さらに、特定保健指導では、医師や保健師から栄養、運動、生活習慣全般にわたるアドバイスを受けられます。
給付を受けるためには「二次健康診断等給付請求書」を用意し、一次健康診断の結果などを添えて、指定された医療機関に提出する必要があります。
注意点として、この給付は年度内(4月1日から翌年3月31日)に1回限りの利用が可能で、請求は一次健康診断を受けた日から3ヶ月以内に行う必要があることを覚えておきましょう。
この制度は、職場での活動による健康リスクを軽減し、従業員の健康維持に貢献する重要なものです。条件に当てはまる場合は、積極的に利用して、健康管理に役立てましょう。
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健康診断の二次検査が必要な従業員に企業がすべき対応は以下の2つです。
従業員の健康は、その人自身はもちろん、企業にとっても大切な財産です。だからこそ、企業には従業員をサポートする重要な役割があります。
ここでは、従業員に二次検査が必要とされた場合の企業の適切な対応方法について紹介します。最後まで見れば、健康診断の二次検査が必要な従業員への正しい対応法が分かり、健康的な会社作りに繋げられるでしょう。
受診を勧める
従業員に健康診断の二次検査の受診を勧めることは、企業の努力義務とされています。これは法律で強制されているわけではありませんが、従業員の健康を守り、より良い職場環境を提供するためには非常に重要な行動です。
上司や健康管理を担当するスタッフが、心配事や不安を聞きつつ、検査の重要性を優しく説明することが大切です。
また、産業医や専門の健康管理スタッフと面談を設定することも、受診への動機づけに繋がります。従業員一人ひとりが安心して検査を受けられるよう、企業側がサポートすることが望ましいです。
保健指導を受けるよう伝える
労働安全衛生法第66条の7では、健康の保持に努める必要があると判断された従業員に対して、医師または保健師による保健指導を行うよう努めることが事業者に求められています。
事業者は、第六十六条第一項の規定による健康診断若しくは当該健康診断に係る同条第五項ただし書の規定による健康診断又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない。
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この法律に基づき、二次検査が必要とされた従業員に対しては、保健指導を受けるよう促すことが企業の責任と言えるでしょう。
保健指導では、従業員の健康状態に合わせた具体的なアドバイスが提供されます。これには、適切な食生活、定期的な運動、ストレスの管理方法などが含まれることが多く、従業員自身が自らの健康を管理するための知識を身につける機会となります。
企業は、従業員が保健指導を受けるための支援を行うことが望ましいです。従業員が健康診断の結果を真剣に受け止め、必要な行動を取れるようにすることで、企業全体の健康管理水準が向上し、結果的に生産性UPにも繋がります。
法律で定められた義務に加え、企業が従業員の健康を重視し、支援する姿勢は職場の雰囲気や従業員満足度の向上にも寄与します。二次検査が必要な従業員への適切な対応は、企業にとっても長期的なメリットがあると言えるでしょう。
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従業員に健康診断の二次検査を拒否された場合は、その意義と健康状態が自分や周りに与える影響について理解してもらうことが重要です。
企業は、従業員の健康を守るためにできる限りのサポートを提供すべきですが、法的に二次検査を強制できません。
従業員が二次検査の受診の重要性を認識できるように、健康診断の結果に基づいた個別の相談機会を設けることが効果的です。受診費用の負担軽減や、受診のための時間調整など、受診のハードルを下げるための支援を検討すると良いでしょう。
企業が従業員の健康管理に積極的に関わることで、従業員は自身の健康についてより一層気を配るようになるはずです。受診を促す際には、心配や不安を感じている従業員に対して、理解と配慮を持って接することが大切です。
従業員が安心して二次検査を受けられるような環境を整え、健康診断の結果を積極的に活用して一人ひとりの健康管理に努めましょう。
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健康診断の二次検査に関するよくある質問は以下の4つです。
健康診断の二次検査に関して多くの人が疑問に思うことをピックアップし、回答します。最後まで見れば、健康診断の二次検査の理解がさらに深まり、トラブルを未然に防げるようになるでしょう。
健康診断の二次検査に行かない従業員がいたら?
健康診断の二次検査に行かない従業員には、二次検査の重要性を理解してもらうよう努めましょう。健康診断は、未発見の健康問題を早期に発見し、治療を促すためのものです。
従業員には二次検査の目的とメリットを丁寧に説明し、健康診断の結果を真剣に受け止めるよう促すことが重要です。
また、検査費用の一部を補助する、検査のための時間を有給として提供するなど、受診しやすい環境を整えることが効果的です。
しかし、最終的には従業員の自由意志によるものであり、強制はできません。
健康診断の二次検査は受けないとどうなる?
二次検査の目的は、一次検査で見つかった気になるポイントをより詳しく調べることです。このステップを飛ばしてしまうと、重要な健康問題を見逃してしまうかもしれません。
早期発見・早期治療ができないことで、将来的により大きな健康問題に発展する恐れがあります。
二次検査を受けないことによって、将来的に自分の健康に影響が出る可能性があると覚えておくことが大切です。企業や自身の健康を守るためにも、二次検査はできるだけ受けるようにしましょう。
健康診断の二次検査は予約が必要?
二次検査は一次検査よりも詳細な調査を行うため、特定の機器や専門の医師が必要な場合が多く、事前の予約が求められることが一般的です。
二次検査の予約をする際は、健康診断を受けた施設に連絡してみましょう。一次検査の結果を参照できるように、結果の書類を手元に準備しておくとスムーズです。
健康診断の再検査はどこで受ければいい?
基本的に再検査は最初の健康診断を受けた医療機関で行えます。これは、すでにあなたの健康診断の結果を把握しているため、より具体的なアドバイスや指示が受けやすいからです。
しかし、再検査を受けたい日にその医療機関での予約が取れない場合や、より専門的な検査が必要な場合は、他の医療機関を選択することも一つの方法です。
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健康診断は従業員の健康状態をチェックし、未発見の健康問題を早期に発見するための重要なツールです。
企業は従業員に対して、二次検査の受診を積極的に勧めるべきです。これは従業員の健康を守るためだけでなく、企業全体の生産性を維持するためにも必要な措置と言えます。
また、受診の勧奨だけでなく、受診のハードルを下げるための時間的・経済的サポートも考慮することが望ましいです。
従業員が二次検査を受けたがらない場合でも、健康診断の目的や二次検査の重要性を丁寧に説明し、理解と協力を得るよう努めましょう。
従業員の健康は企業の貴重な資産です。従業員の健康管理に責任を持つことは、長期的に見て企業自体にも大きな利益をもたらします。従業員の健康管理に対する意識を高め、サポート体制を整えることで、一人ひとりが安心して働ける環境を提供すべきです。