契約社員の健康診断は義務?必須となる条件や実施すべきか迷うケースを解説

契約社員 健康診断

  • 従業員の健康診断はどこまで負担すれば良い?
  • 会社が健康診断の費用を負担してくれない場合はどうなる?

上記のことで悩んでいる経営者や人事・労務担当者は多いでしょう。

結論を言うと、契約期間と労働時間の条件を満たす契約社員に対して、企業は健康診断を実施する義務が発生します。本記事では、雇用している契約社員が健康診断の受診対象者になるのか、その疑問の解消をお手伝いします。

また、以下のことについても解説するのでご確認ください。

本記事で健康診断について企業がすべきことが理解できるでしょう。 

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契約社員の健康診断が必須となる2つの条件

契約社員 健康診断が必須となる条件

契約社員の場合、健康診断の実施は2つの条件を満たす必要があります。

引用元:『各種健康診断について』資料・愛知労働局|厚生労働省

無期契約労働者や有期契約で1年以上の期間を務める労働者、さらには有期契約の更新によって1年以上使用される予定のある労働者は健康診断の受診が必須です。

また、短期契約者の場合、契約が自動更新になると健康診断が義務化する可能性があります。

そして、労働時間もポイントで、1週間の労働時間が正社員の所定労働時間の3/4以上の場合、健康診断の実施が必要です。これらの条件を満たす契約社員は、定期的な健康診断を受けることが法的に義務づけられています。

1週間の所定労働時間が正社員の1/2以上3/4未満になる契約社員に関しては、健康診断を実施する義務はありません。

ただし、条件を満たしていない場合でも、契約社員が安全で健康に働くために健康診断の実施が望ましいとされています。

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契約社員の健康診断を実施すべきか迷う4つのケースと解決策

契約社員 健康診断 迷う4つのケースと解決策

雇用している契約社員に健康診断を受けさせるべきか迷う企業担当者は、以下の4つのケースを参考にしてください。

契約社員は正社員とは違い、契約の自動更新が行われる場合があるため、判断に迷う企業担当者は多いです。月によって労働時間が変動するなど特殊なケースについても確認してください。

契約が自動更新された場合

契約社員の場合、契約が自動更新されると無期契約労働者と見なされる可能性があります。この場合、健康診断の実施義務が発生します。契約更新が1回でも発生すると、正社員と同じように無期契約労働者に切り替わるケースも出てくるので注意しましょう。

契約更新について会社の方針が定まっていない・就業規則に明記されていない、など社内で判断できない場合は、労働基準監督署に相談をおすすめします。

契約更新により契約期間が1年以上になった場合

契約期間が1年以上になる場合、健康診断の実施が必要です。これは「半年契約で、更新すると1年に期間が延びる」などのケースが該当します。

契約更新ごとに健康診断の必要性を確認し、適切な対応を行いましょう。

有害業務・特定業務に従事している場合

特定の業務に従事する場合は、契約社員でも定期的な健康診断が必要です。有害業務・特定業務に従事する労働者に対しては、半年に1回の定期健康診断が義務づけられています。そのため、契約期間が半年など1年に満たない契約社員でも、業務内容によって健康診断が必須となることを覚えておきましょう。

契約社員の労働が有害業務・特定業務に該当するかは、以下の資料「特定業務従事者の健康診断」の項目で確認できます。

引用元:労働安全衛生法に基づく 健康診断を実施しましょう ~労働者の健康確保のために~ 厚生労働省

月によって労働時間が変動する場合

労働時間が月によって変動する場合は、健康診断の必要性が変わる可能性があります。通常、1週間の所定労働時間が正社員の3/4未満に該当する場合、健康診断を実施しなくても良いと判断できます。

しかし「所定労働時間を満たしていないから大丈夫だろう」と自己判断すると、法律違反となり罰金が科される恐れがあるのです。

月によって労働時間が変動する契約社員の判断は、労働基準監督署への確認がおすすめです。

行政の適正な相談窓口に連絡し、適切に対応をしましょう。

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契約社員の健康診断の費用について-自己負担させても良い?ー

契約社員 健康診断の費用

法定受診項目に限定される健康診断の場合、通常は会社が費用を負担します。1週間の所定労働時間が正社員の1/2以上3/4未満になる契約社員に健康診断を受けさせる場合でも、会社負担が望ましいとされています。

ただし、特定の検査を契約社員が希望する場合、それらは個人負担となることが一般的です。会社負担とならない健康診断の費用を以下で確認しておきましょう。

  • オプション検査
  • 人間ドック検査
  • 雇入れ時の健康診断

健康診断には新しく雇用した際の「雇入れ時の健康診断」と1年に1回実施する「定期健康診断」の2種類があります。雇入れ時の健康診断も通常は会社負担で実施する義務があります。

しかし、雇入れ時の健康診断に該当するのは、常時使用する労働者です。雇用前に数ヶ月の期間だけ契約した契約社員は、雇入れ時の健康診断を受ける従業員には該当しません。

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契約社員の健康診断を実施するメリット

契約社員の健康診断を実施するメリット

契約社員に健康診断を実施すると、以下のようなメリットが得られます。 

  • 労働者の健康状態の把握
  • 労働者の健康問題を早期発見
  • 労働者の健康保持と健康促進
  • 生産性の向上
  • 企業の法令遵守

健康診断は法律や規制によって実施が義務づけられているため、法令遵守の観点からも重要です。さらに、健康診断結果を基に健康管理や予防措置を講じることで、労働者の健康促進につながります。

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契約社員の健康診断を実施するデメリット

契約社員の健康診断を実施するデメリット

契約社員に健康診断を実施するデメリットとしては、以下が考えられます。

  • 健康診断は保険適用外なので企業負担が増す
  • 健康診断の結果が悪い場合、雇用の継続に影響を与える
  • 健康診断の結果・情報が漏洩するリスクがある

健康診断は保険が使えないため、会社の負担は少なくありません。また、健康診断の結果は個人情報として扱われるため、情報漏洩によるリスク管理が必要です。

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契約社員に健康診断を拒否された場合は?対処法を解説

契約社員に健康診断を拒否された 対処法

契約社員に健康診断の受診を拒否された場合の対処法は以下の3つです。

  • 意識向上のための教育
  • 受診のしやすさの向上
  • 健康診断の結果に基づいたフォローアップ

健康診断の受診率をアップさせるためには、契約社員の健康診断に対する意識を変える必要があります。健康体を維持できるほか、異常を早期発見できると、企業と契約社員の双方にとってメリットになることを伝えてください。

また、契約社員が受診しやすいような取り組みも必要です。契約社員に寄り添ったスケジュール調整や診療場所を確保しましょう。

詳しい対処法は「健康診断を受けたくないと言われた場合の対応」の記事で解説しています。ぜひこちらの記事もご覧ください。

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契約社員に健康診断を実施しなかった場合の罰則

契約社員に健康診断を実施しなかった  罰則

契約社員の健康診断を怠った企業は、最高で50万円以下の罰金が科されます。

労働安全衛生法第66条によれば、企業は条件を満たす労働者に対して健康診断を実施しなければなりません。

引用元:一般健康診断の健診項目に対する考え方|厚生労働省

労働者の健康診断は法律によって厳しく規制されており、その目的は労働環境の安全と労働者の健康確保です。契約社員もその対象に含まれるため、企業は契約社員に対しても健康診断を怠ることなく適切に実施しなければなりません。

また、契約社員自身も健康診断を受けることが法律で義務づけられています。このような法的な義務を怠ると、企業や契約社員自身にとって深刻な法的な問題が生じる可能性があります。

したがって、契約社員にとっても企業にとっても、健康診断を実施することは重要であり、怠ることのないように注意する必要があります。

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契約社員の健康診断に関する4つのよくある質問

契約社員の健康診断に関するよくある質問

契約社員の健康診断に関するよくある質問は、以下の4つです。

経営者や人事・労務担当者が気になっている健康診断の費用や、健康診断の受診対象者について解説します。

契約社員の健康診断にかかる費用の相場は?

契約社員の健康診断にかかる費用は1人あたり5,000〜15,000円です。これはあくまでも、法律で義務化されている検査の費用で、オプション検査や人間ドック検査の費用は上記に含まれません。

契約社員の健康診断は自己負担になる?

契約社員の健康診断は、原則として会社負担となります。

ただし、法定受診項目以外の検査やオプション検査に関しては、個人負担が発生する場合があります。具体的な負担内容は労働者の契約条件や会社方針によって異なります。

健康診断の義務対象者は?

労働安全衛生法に基づき、健康診断の義務対象者は「常時使用する労働者」です。これには契約社員も含まれます。契約期間や労働時間などの条件を満たす場合、契約社員も健康診断の対象です。

入社時の健康診断の対象者は?

入社時の健康診断の対象者は「常時使用する労働者」です。「常時使用する労働者」は、以下に該当する従業員です。

  • 契約期間の定めがない
  • 1年以上の有期契約を結んだ
  • 週の労働時間が正社員の3/4以上になる

たとえば、最初に3ヶ月など1年未満で契約を結んだ契約社員の場合、入社時の健康診断の対象者には該当しません。

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まとめ:条件を満たした契約社員には健康診断の実施義務がある

契約社員 健康診断 まとめ

契約社員は契約期間と労働時間がすべて条件を満たす場合、健康診断を受けさせる義務があります。契約期間と労働時間の条件は以下の通りです。

  • 無期契約労働者
  • 1年以上の有期契約労働者
  • 更新によって1年以上使用される予定の労働者
  • 週の労働時間が正社員の3/4以上になる労働者

3ヶ月や半年の契約期間であっても、次の更新で1年以上の雇用になる場合、健康診断は必須です。有害業務・特定業務に就く契約社員については、半年に1回の健康診断が義務化されているため、1年以上の雇用がなくても実施義務になるケースがでてきます。

また、月によって労働時間が変動するなど、判断が難しい契約社員がいる場合は、労働基準監督署に相談・確認することを強くおすすめします。