ストレスチェックは義務化された?実施手順・罰則・非対象者について解説

ストレスチェック 義務

ストレスチェックは2015年から企業に課された義務です。企業は、厚生労働省が定めた方法でストレスチェックを実施する必要があります。

企業の義務であるストレスチェックを正しく実施する手順は以下の6つです。

企業が義務化されたストレスチェックを正しく実施するためには、ストレスチェックの目的や対象者についての把握が重要です。当記事では、以下のことがわかります。

最後まで見れば、ストレスチェックの正しい実施方法がわかり、自信を持って対応できるようになるでしょう。

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ストレスチェックは企業の義務!目的・対象者・実施頻度

ストレスチェック 義務 目的

企業の義務であるストレスチェックの目的・対象者・実施頻度を解説します。

ストレスチェックは、企業が従業員のメンタルヘルスを守るために義務づけられた制度です。ここでは、企業の義務であるストレスチェックの目的・対象者・実施頻度を詳しく解説します。

最後まで見れば、ストレスチェックの重要性がわかり、実施に向けて行動できるようになるでしょう。

ストレスチェックの目的

ストレスチェックの目的は、労働者のストレスレベルを把握し、健康リスクを未然に防ぐことです。

ストレスチェックは、企業が従業員のメンタルヘルスを管理し、過剰なストレスによる健康障害を防ぐために制度化されました。ストレスチェックにより、労働者は自身のストレス状態を客観的に理解し、早期の対処が可能となります。

2014(平成26)年6月に労働安全衛生法が改正され、2015(平成27)年12月1日からストレスチェック制度が義務化されました。制度の主な目的は、労働者自身のストレスへの気付きを促進すること、ストレスの原因となる職場環境の改善につなげることの2点です。

引用元:志賀労働局

企業はストレスチェックの結果を職場環境の改善に役立て、従業員の健康維持と業務効率化を図れます。

詳細は「ストレスチェックの目的」の記事をご確認ください。

ストレスチェックの対象者

ストレスチェックの義務対象は、常時50人以上の従業員を雇用している全ての事業場です。事業場の法人格の有無に関わらず、従業員の健康を守るためにはストレスチェックが必須です。

特に、従業員が多い職場では、メンタルヘルスケアの重要性が増しています。企業は、対象者に対してストレスチェックを実施し、職場の健康管理を徹底する責任があります。

ストレスチェックの受検対象者には、正社員だけでなく、アルバイト・パート・契約社員・派遣社員なども含まれます。契約期間が1年以上の労働者や、契約更新で1年以上の継続勤務が予定されている場合、ストレスチェックの対象です。

(1) ストレスチェックの実施方法(第52条の9関係)
イ 事業者がストレスチェックを行うべき「常時使用する労働者」とは、次の①及び②のいずれの要件をも満たす者であること。
① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む)であること。
② その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働
時間数の4分の3以上であること。

引用元:厚生労働省

契約社員や派遣社員も上記の常時使用する労働者に該当する場合、ストレスチェックの受検対象者となるため注意しましょう。

衛生管理者や産業医の選任義務と同様、常時50人以上の労働者を使用する事業場にストレスチェック制度の実施義務があります。この場合の「労働者」には、パートタイム労働者や派遣先の派遣労働者も含まれます。

引用元:厚生労働省

ストレスチェックの対象者については「ストレスチェックの対象者の範囲」の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

ストレスチェックの実施頻度

ストレスチェックの実施頻度は、厚生労働省によって最低でも1年に一回の実施が義務づけられています。実施頻度は企業が従業員のメンタルヘルスを継続的に管理するための重要な基準です。

必要に応じて複数回実施することも可能です。また、1年のうち一回は労働基準監督署への報告義務も発生します。

企業は規定を守って適切な頻度でストレスチェックを実施し、従業員の健康管理を徹底する責任があります。

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ストレスチェックで義務づけられている実施者

ストレスチェック 義務 実施者

ストレスチェックの実施者は、産業医や保健師などの専門資格を持つ人です。

ストレスチェックの実施者

  • 医師
  • 保健師
  • 研修を修了した看護師
  • 研修を修了した精神保健福祉士
  • 研修を修了した歯科医師
  • 研修を修了した公認心理師

実施者は調査票の作成・高ストレス者の選定基準の決定・面接指導の判断などを担当します。実施者の選定は、ストレスチェックの効果を最大化するために欠かせません。

ストレスチェックの実施者については以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

ストレスチェックの実施は外部機関を利用できる

ストレスチェックを実施する際、外部機関を利用できます。

ストレスチェックの実施において、おすすめの健康管理サービスがけんさぽです。けんさぽのストレスチェック機能は以下の通りです。

  • 質問作成(23・57・80・120項目)
  • 受検票の配布
  • 結果収集
  • 個人・集団・事業所・部署別の分析
  • 高ストレス者のピックアップ
  • 産業医・保健師紹介
  • 面接指導の案内
  • 報告書のフォーマット出力

けんさぽは企業の代わりにストレスチェックを実施します。また、結果をデータで管理し、集団分析や労働基準監督署に提出する報告書を作成します。

ストレスチェックに関する業務を一元化できるため、忙しい企業の業務の削減が可能です。

ストレスチェックの業務負担を軽減したい企業・ストレスチェックに適した実施者がいない企業は、ぜひ一度けんさぽへご相談ください。

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義務であるストレスチェックを実施するときの6つの手順

ストレスチェック 義務 手順

義務であるストレスチェックを実施するときの手順は以下の6つです。

ストレスチェックは、適切な手順を踏むことで、ストレスの原因を特定し、職場環境を改善するための重要な情報を得られます。ここでは、ストレスチェックを効果的に実施するための6つの手順を詳しく解説します。

最後まで見れば、ストレスチェックの具体的な進め方がわかり、実践的な職場環境改善につながるでしょう。

①実施前の準備

ストレスチェックを実施する前には、十分な準備が必要です。まず、メンタルヘルス不調の予防を目的として、ストレスチェックの導入を従業員にしっかりと周知します。

その後、以下の項目を話し合いで決めておきましょう。

  • 実施者・実施事務従事者の選定
  • 実施のタイミング
  • 使用する調査票の種類
  • 高ストレス者の選定基準
  • 面接指導の申し出方法
  • 面接指導をする医師の選定
  • 結果開示の同意取得方法
  • 結果の保存方法
  • 問い合わせ窓口の設置
  • 集団分析のやり方
  • 結果の活用方法

衛生委員会での審議に基づき、ストレスチェック制度の実施方針を明確に示すことも重要です。準備段階での計画が、ストレスチェックの効果的な実施に直結します。

②ストレスチェックの実施

ストレスチェックを行う際には、従業員に対して質問票を配布し、ストレスの原因・心身の症状・周囲からのサポート状況について回答してもらいます。

実施方法は紙媒体かウェブ媒体のいずれかを選択可能です。

紙の場合は質問票を直接配布し、ウェブの場合は指定されたURLを従業員に通知します。質問票の回収は、実施者や実施事務従事者が行い、内容は厳重に管理しましょう。

従業員の個人情報を保護しながら、正確なストレス状況を把握することが重要です。

③結果通知や面接指導

ストレスチェックの結果は、必ず従業員一人ひとりへ正確に通知しなければなりません。通知内容は以下の通りです。

  • ストレスプロフィール
  • ストレスの程度
  • 面談指導の必要性に関する判定

従業員が結果を確認したあとに面談を希望する場合は、産業医との面接を速やかに手配します。面接指導の申し出は通知受け取り後1ヵ月以内・面接指導の実施は申し出から1ヵ月以内に行う必要があります。

○ ストレスチェック結果で「医師による面接指導が必要」とされ た労働者から申出※1があった場合は、医師に依頼して面接指導を 実施※2しましょう。 

※1 申出は、結果が通知されてから1月以内に行う必要があります。 

※2 面接指導は申出があってから1月以内に行う必要があります。

引用元:厚生労働省

ストレスチェック後の面接指導の案内や実施も企業の義務のため、従業員から申し出があった場合は、迅速に対応しましょう。

➃結果保存

ストレスチェックの結果は、各事業場で5年間の保存が義務づけられています。結果を含め5年間の保存期間が設けられている書類は以下の通りです。

  • 面接希望者リスト
  • 面接指導の内容
  • 集団分析の結果

ストレスチェック結果の保存方法には、書面とデータのいずれかを選ぶことが可能です。どちらの場合でも正確かつ安全に保管する必要があります。

特に面接指導の内容の保存については、従業員の健康状態を長期的に管理するために不可欠な措置です。保存を行うと、企業は将来的な職場環境の改善や法的義務を履行できます。

⑤労働基準監督署へ報告

企業はストレスチェックを実施したあと、結果および面接の実施状況を労働基準監督署に報告する義務があります。

ストレスチェック結果の報告には、ストレスチェックがどのように行われたかや、面接指導の実施状況などが含まれます。

ストレスチェックを実施しなかった場合に罰則はありません。しかし、結果報告を怠った・虚偽の報告を行ったなどの場合は、50万円以下の罰金が科される可能性もあるため注意が必要です。

企業がストレスチェックの報告を正確に行うと、法的な義務を果たし、従業員のメンタルヘルスを管理できます。ストレスチェック報告書の作成については、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

⑥実施後の措置と環境改善

企業はストレスチェックの結果を活かして、積極的に職場のメンタルヘルス対策を進める必要があります。

従業員のストレス要因や人間関係における課題を深く掘り下げて分析し、職場環境の改善策を実行することが大切です。

実施後の措置と環境改善は、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐだけでなく、職場全体の健康を高め生産性の向上にもつながります。

ストレスチェック結果の活用は、企業が従業員の働きやすさを向上させ、持続可能な職場環境を築くための手段です。

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ストレスチェックで気をつけること!2つの注意点

ストレスチェック 義務 注意点

ストレスチェックの注意点は以下の2つです。

企業がストレスチェックを実施する際には、従業員のメンタルヘルスを守るために気をつけるべき重要な注意点があります。ここでは、ストレスチェックで気をつける注意点を詳しく解説します。

最後まで見れば、ストレスチェックの実施において重要なポイントがわかり、適切な対応ができるようになるでしょう。

個人情報をきちんと保護する

ストレスチェックでは、従業員の個人情報が取り扱われるため、プライバシー保護が極めて重要です。

ストレスチェック結果が本人の同意なしに企業側へ伝わることがないよう、実施者には守秘義務が課されています。

企業は上記の点を従業員にあらかじめ説明し、安心して参加できる環境を整えましょう。徹底して情報管理を行うと、従業員の信頼を維持でき、ストレスチェックの効果を最大限に引き出すことが可能です。

結果を不利益に扱わない

ストレスチェックの結果や面接指導の有無によって、従業員を不利益に扱うことは禁止されています。面接指導を希望しなかった場合や面接の結果によって、従業員に解雇や不当な配置転換などを行うことはできません。

ア 労働者が受検しないこと等を理由とした不利益な取扱い
① ストレスチェックを受けない労働者に対して、これを理由とした不利益な取扱いを行うこと。例えば、就業規則においてストレスチェックの受検を義務付け、受検しない労働者に対して懲戒処分を行うことは、労働者に受検を義務付けていない法の趣旨に照らして行ってはならないこと。
② ストレスチェック結果を事業者に提供することに同意しない労働者に対して、これを理由とした不利益な取扱いを行うこと。
③ 面接指導の要件を満たしているにもかかわらず、面接指導の申出を行わない労働者に対して、これを理由とした不利益な取扱いを行うこと。

イ 面接指導結果を理由とした不利益な取扱い
① 措置の実施に当たり、医師による面接指導を行うこと又は面接指導結果に基づく必要な措置について医師の意見を聴取すること等の法令上求められる手順に従わず、不利益な取扱いを行うこと。
② 面接指導結果に基づく措置の実施に当たり、医師の意見とはその内容・程度が著しく異なる等医師の意見を勘案し必要と認められる範囲内となっていないもの又は労働者の実情が考慮されていないもの等の法令上求められる要件を満たさない内容の不利益な取扱いを行うこと。
③ 面接指導の結果を理由として、次に掲げる措置を行うこと。
(a)解雇すること。
(b)期間を定めて雇用される者について契約の更新をしないこと。
(c)退職勧奨を行うこと。
(d)不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は職
位(役職)の変更を命じること。
(e)その他の労働契約法等の労働関係法令に違反する措置を講じること。

引用元:厚生労働省

ストレスチェックの回答内容が昇進や評価に影響しないことを、従業員に明確に伝えることも重要です。

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ストレスチェックの義務化を怠ったときの罰則

ストレスチェック 義務 罰則

義務化されているストレスチェックの実施を怠った場合、直接的な罰則は受けません。

しかし、企業にはストレスチェックや面接指導の実施状況を労働基準監督署へ報告する義務もあります。ストレスチェックの報告を怠ったり、虚偽の報告を行ったりした場合には、最大で50万円の罰金が科せられる可能性もあるため注意が必要です。

第百二十条次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

五 第百条第一項又は第三項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者

引用元:労働安全衛生法

ストレスチェック結果の報告書作成はストレスチェックを実施しないとできません。そのため、企業は必然的にストレスチェックを行うことになります。

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ストレスチェックの義務化で活用できる助成金一覧

ストレスチェック 義務 助成金

ストレスチェックの義務化で活用できる助成金は、団体経由産業保健活動推進助成金です。

活用できるのは、事業主団体等や労災保険の特別加入団体の傘下企業です。団体経由産業保健活動推進助成金では、以下の項目の費用が助成されます。

  • 健康診断結果の意見聴取
  • 保健指導
  • 面接指導・意見聴取
  • 健康相談対応
  • 治療と仕事の両立支援
  • 職場環境改善支援
  • 健康教育研修、事業者と管理者向けの産業保健に関する周知啓発

企業が団体経由産業保健活動推進助成金を活用する場合、事業主団体等や労災保険の特別加入団体を経由して申し込む必要があります。

ストレスチェックの義務化で活用できる助成金については、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

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ストレスチェックを従業員から拒否されたときの対処法

ストレスチェック 義務 拒否

従業員がストレスチェックを拒否した際の対応策は以下の通りです。

  • 拒否の理由を丁寧に確認する
  • ストレスチェックの重要性とメリットを説明する
  • データの安全性を保障する
  • 職務評価には影響しないことを伝える

企業にはストレスチェックの実施義務がありますが、従業員にはチェックを拒否する権利があります。従業員がストレスチェックを拒否した場合、受検を強制できません。

そのため、最初に従業員の不安を聞き取り、ストレスチェックの目的やデータの管理方法を具体的に説明することが重要です。また、他者に受検内容が見られないようにするなど、安心して受検できる環境を整えましょう。

従業員がストレスチェックを拒否した場合の対応について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

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ストレスチェックの高ストレス者への対処法

ストレスチェック 義務 高ストレス者

ストレスチェックの結果、高ストレスと診断された従業員がいる場合、本人が希望すれば医師による面接指導を実施します。面接指導の結果をもとに職場の改善点を明確にしましょう。

企業は面接指導のフィードバックを活かして職場環境を改善し、従業員のメンタルヘルスを守りながら、職場全体の環境向上を図ることが重要です。

さらに、社外の相談窓口やオンライン相談の受付体制を整えるなど、幅広いサポートの提供も求められます。

以下からは、高ストレス者を放置したときの罰則や高ストレス者の割合について詳しく解説します。

企業は高ストレス者と判定された従業員に対して適切な対応を取る必要があります。

最後まで見れば、高ストレス者を放置するリスクや高ストレス者の割合を理解し、企業の義務を果たす行動が取れるようになるでしょう。

高ストレス者を放置したときの罰則

高ストレス者を放置した場合、安全配慮義務違反とみなされるリスクがあります。

安全配慮義務とは労働契約にもとづき、企業が従業員に対して負う、労働環境の安全や健康に配慮する義務のことです。

(労働者の安全への配慮)

第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。 

引用元:労働契約法

企業は労働者が業務を行う際に、事故・災害・健康障害などのリスクから守るため、必要な措置を講じる責任があります。ストレスチェックは健康障害対策(メンタルヘルスケア対策)として安全配慮義務に含まれるため、高ストレス者の放置はやめましょう。

高ストレス者と判定される人の割合

ストレスチェックを受けて高ストレス者と判定される人の割合は14.9%です。

受検者1,395,057 人のうち208,074 人(14.9%)が高ストレス者と判定された。

引用元:メンタルヘルス専門委員会

メンタルヘルス専門委員会の調査によると、高ストレス者と判定された年代は30代から50代の男女でした。また、業種別でみると、製造業・運輸業・宿泊業などの業種に高ストレス者が多いこともわかっています。

高ストレス者が多くなる業種の企業や30代から50代の従業員を抱えている企業は、ストレスチェック後の高ストレス者への対応に気をつける必要があります。

高ストレス者への具体的な対応策については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

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ストレスチェックが義務づけられていない人は?非対象者について

ストレスチェック 義務 非対象者

ストレスチェックが義務づけられていない非対象者は以下の通りです。

ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルスを守るために多くの企業で義務づけられていますが、全ての従業員が対象になるわけではありません。ここでは、ストレスチェックが義務づけられていない非対象者を詳しく解説します。

最後まで見れば、ストレスチェックの非対象者について理解でき、正しい判断ができるようになるでしょう。

休職中の人

休職中の労働者は、ストレスチェックの対象外です。具体的には、以下の労働者が該当します。

  • 産休・育休中の労働者
  • 介護休暇中の労働者
  • ケガや病気で休職中の労働者

企業は休職中の労働者に対して、ストレスチェックを行う義務はなく、報告書にも記載する必要はありません。企業は休職中の労働者への対応を理解することが重要です。

海外勤務の人

海外の現地法人に勤務している従業員は、ストレスチェックの対象外となります。現地法人での雇用が日本国内の法律の適用外であるためです。

海外在住であっても日本の法人に在籍している場合や、実施期間中に出張で一時的に不在となる場合は、ストレスチェックの実施義務があります。

企業は海外勤務従事者の規定を理解し、対象者の特定を正確に行うことが求められます。

雇用予定の人

雇用が予定されている段階の人、つまり入職前の労働者は、ストレスチェックの対象にはなりません。

ストレスチェックの義務は、現在雇用されている労働者に対してのみ適用されるため、入職前の段階にある個人は非対象者として扱われます。

企業はストレスチェックの報告書を作成する際に、上記の点を考慮し、正確な対象者の把握と報告を行う必要があります。ストレスチェックの対象者と非対象者については、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

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ストレスチェック制度とは?発足背景・概要を解説

ストレスチェック 義務 発足背景・概要

ストレスチェック制度の発足背景・概要を解説します。

ストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルスを守るために設けられた制度で、2015年12月から義務化されました。ここでは、ストレスチェック制度の発足背景・概要を詳しく解説します。

最後まで見れば、ストレスチェック制度が導入されたきっかけを理解し、企業の義務として認識できるようになるでしょう。

ストレスチェック制度が発足された背景

ストレスチェック制度が導入された背景には、労働者の精神的な不調の増加が挙げられます。特に、仕事中に起因する精神的な問題が原因で労災認定される事例が増えたことも大きな要因です。

2006年、厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を策定しましたが、その後も精神障害による労災認定は増加の一途をたどりました。

精神障害等による労災認定件数

引用元:厚生労働省

2014年、厚生労働省はこの状況を改善すべく、労働安全衛生法を改正しました。労働安全衛生法の改正により、労働者のストレスを早期に把握し、職場環境の改善を促進する目的で、2015年にストレスチェック制度が導入されました。

ストレスチェック制度の概要

ストレスチェック制度は、企業が従業員の精神的負担を把握し、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐことを目的に設けられた制度です。

ストレスチェック制度は、

・労働者が自分のストレス状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり

・職場の状況を把握して、職場環境の改善につなげる

ことで、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。

 労働者のプライバシー保護や不当な不利益取扱い(解雇等)の防止が、法律や厚生労働大臣指針で定められています。

引用元:志賀労働局

ストレスチェック制度では、年に一度、医師や保健師が従業員に対してストレスチェックを実施することが義務づけられています。また、高ストレス者と判定さた労働者のうち希望する人には、医師による面接指導の提供も義務のひとつです。

さらに、医師の意見を参考にし、必要に応じて配置転換や労働時間の見直しなどの対応も求められます。

国はストレスチェック制度導入から10年が経過した現在も、医師や保健師の研修を強化し、労働者の相談体制の整備を進めています。

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ストレスチェックの義務に関する2つのよくある質問

ストレスチェック 義務 よくある質問

ストレスチェックの義務に関するよくある質問は以下の2つです。

ストレスチェックの義務に関して、企業が抱える疑問は多岐にわたります。ここでは、ストレスチェックの義務に関するよくある質問と回答を詳しく解説します。

最後まで見れば、ストレスチェックに関する疑問が解消されるでしょう。

ストレスチェックは50人未満の企業も義務化されている?

労働者が50人未満の企業において、ストレスチェックは「努力義務」とされています。

ストレスチェックの努力義務がいつまでなのかは、まだ正式にアナウンスされていません。しかし、国は日本の従業員のメンタルヘルスを守るため、50人未満の企業でも積極的にストレスチェックの実施を推奨しています。

労働者50人未満の企業のストレスチェックに関しては、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

ストレスチェックは意味がない?

ストレスチェックは意味がある制度です。ストレスチェックに意味がある理由は以下の通りです。

  • 従業員が自分のストレスを把握できる
  • 職場環境の改善につながる
  • 従業員へ適切な支援ができる

ストレスチェックは従業員が自身のストレスを把握でき、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ重要な役割を果たします。正しく対処することで、従業員への適切な支援が可能となり、企業全体の健康管理にも貢献します。

ストレスチェックが「意味がない」と思われがちな理由については、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

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まとめ:義務化されているストレスチェックを手順通りに実施しよう

ストレスチェック 義務 まとめ

ストレスチェックは、企業が従業員のメンタルヘルスを守るために義務化された重要な制度です。経営者・人事担当者は、ストレスチェックの目的・対象者・実施頻度について、もう一度おさらいしましょう。

ストレスチェックを実施すると従業員のストレス状態を早期に把握し、職場環境の改善やメンタルヘルス不調の予防につなげられます。

ただし、ストレスチェック結果の取り扱いにて、プライバシー保護や不利益な扱いを避けるなどの注意が必要です。企業は手順を踏んでストレスチェックを実施し、従業員の健康を守り、健全な職場環境の維持に努めましょう。